嫌いな上司とどう付き合えば自分が損をしないか?
バカとケンカすると自分までバカになる
この記事はこんな人におすすめです
月曜の朝、改札を出たあたりで少しだけ足が重くなる
あの人の席の横を通るとき、なぜか息を止めている
金曜の夜、せっかくお酒を飲んでいるのに気づいたら上司の話をしている
ひとつでも心当たりがあるなら、この記事はあなたのために書きました
先に言っておきますが
これは上司を好きになる方法ではありません
嫌いなままで大丈夫です
ぼくが書きたいのはひとつだけで
嫌いな相手とどうすれば自分が損をしないで済むか
ぼくは普段
コミュニケーションとビジネス心理学の講座をやっています
毎日のように受講生の方と話していますが 相談でいちばん多いのがこれなんですね
「嫌な上司とどう付き合えばいいですか」
理不尽なことで急に怒る
うまくいった時だけ自分の手柄にする
その日の機嫌で言うことがころころ変わる
書いていて思いましたがみんなよく耐えてるなと
正論で勝った人が半年後に失ったもの
知り合いにこんな人がいました
会議で上司の矛盾を理路整然と逃げ道なく指摘した
その場は静かになって周りも内心では拍手していたと思います
ぼくもその話を聞いたとき、痛快だなと思いました
でも半年後、その人は希望していない部署に異動になりました
誰も「あの言い争いが理由だ」とは言いません
言わないけれど、たぶんそういうことなんです
ここがいちばん怖いところで
仕返しは分かる形では来ない
評価がほんの少しだけ下がる
良い案件が回ってこなくなる
会議に呼ばれる回数がなんとなく減る
それだけなんですね
だから、やられたことにすら気づかないままじわじわ効いてきます
戦っても逃げても損をする理由
嫌な上司を前にすると、人がやることは二つに分かれます
ひとつは、正面から戦うこと
「それ、おかしくないですか」と正論をぶつける
もうひとつは、できるだけ関わらないこと
必要最低限しか話さなくなる
どちらも気持ちはよく分かります
ぼくも昔、上司と真正面からやりあったことがあります
もちろん何ひとつ良いことはありませんでした
なぜどちらも損なのか
理由は単純で、上司とあなたは対等ではないからです
相手はあなたの評価をつける権利を持っています
仕事の割り振りも誰と組ませるかも、どの情報をいつ渡すかもあちらが決める
同じことをやり返しても、返ってくるものの大きさが全然違う
この非対称さを分からないまま戦うと勝った時ですら損をします
かといって心を閉じるほうも安全ではありません
関わらないと決めた瞬間から、あなたに回ってくる情報が減っていきます
気づいた時には必要なことを最後に知らされる人になっているはずです
嫌な上司とのつきあい方
1.適当に聞き流す
投げやりに聞こえるかもしれませんが、ちゃんと理由があります
嫌な上司の言葉って、その多くが頼んでいない助言です
聞いてもいないのに「俺の若い頃はな」から始まるやつのことです
あれがなぜあんなにしんどいか分かりますか
内容が間違っているからではありません
頼んでいないからです
人には「自分のことは自分で決めたい」という強い欲求があります
それを外から動かされそうになると、たとえ正しい話でも反発したくなる
心理学では心理的リアクタンスと呼びます
だから頼まれていない助言は、助けではなく支配として届くんですね
しかも問題が深刻であるほど、外から見える部分は減っていきます
本当に困っていることのいちばん大事な部分は本人にしかわかりません
事情も、経緯も、我慢してきた量も
それを知らない人が三十秒で出した助言が正しいわけがないんです
つまりあの助言はあなたのための答えではない
言った側が「教える立場」に立つための儀式なんですね
そう分かると、聞き流すことへの罪悪感がすっと軽くなると思います
感情はうつる
もうひとつ理由は人の感情はうつるからです
感情の伝染といって目の前の人がいらいらしていると、こちらの心拍数まで上がってきます
たとえば誰かが怒鳴った時、関係ない自分にまで肩に力が入るのを感じたことはありませんか
真正面から受け止めるというのは、相手のいらいらをそのまま自分の中に入れる作業なんですね
ただし「無視」とは違います
ここが大事なところで
聞き流すのは無視することではありません
無視は驚くほど伝わります
目を合わせない
返事が一言だけになる
相手はちゃんと気づきますし、それが次の敵意を生みます
言葉は受け取る
感情は受け取らない
具体的には相手が怒っている時、内容を事実だけに翻訳してみてください
たとえば「なんでこんなこともできないんだ」と言われたとする
ここから感情を抜くと残るのはこれだけです
この人はいま、私が作業ができていないことに困っている
それだけなんですね
言い方がきついとか、人格を否定してきたとかは置いといて
不思議なもので返す言葉が変わってきます
すると「すみません」ではなく
「いつまでに必要ですか」が出てくる
この一言が出ると、話が前に進むので相手の怒りも早く終わります
それともう一つ
相手の機嫌が悪いのはあなたのせいではない
上司にも上司がいます
上から詰められた帰りに、あなたのところへ寄っているだけかもしれない
何をしても機嫌が変わらない日は、あなたが会う前から決まっていたのです
聞き流すというのは諦めることではなく
自分の心を相手に預けない技術です
聞き流すときの注意
聞き流しすぎて困ることもあります
感情を切るのと、内容を落とすのは別です
怒っている時の言葉には、たまに本当に大事な情報が混ざっています
「あの件は先方にはもう伝えたのか」とか
だから感情は流しても、事実は必ず一回メモを取る
手を動かしていると、それだけで受け止めている感じも伝わりますし
後から「言った 言わない」にもなりません
2.実際に良いところを見つける
嘘を言えという話ではありません
返報性は見返りを求めた瞬間に崩壊します
心にもないお世辞は驚くほど伝わることもあります
「この人は自分を操ろうとしているな」と警戒されて、逆効果になりえます
だからやるのは、褒めることではなく探すことです
探し方のコツ
どんなに合わない相手でも、ひとつくらいは「ましなところ」があるものです
判断の速さ
決めるのが早い人は、それだけで部下の時間を守っています
情報
あの人のところにはなぜか先に話が来る、ということがあります
守り
普段どれだけ嫌でも外からの文句をそこで止めてくれているなら、それは仕事をしているということです
人として好きになる必要はありません
仕事の一部分だけを見てそこは事実として認める
それだけです
「褒める」ではなく「助かりました」
言い方にもコツがあります
褒めるというより「助かった」と伝えることです
あの判断、早くて助かりました
あそこ指摘してもらえて助かりました
褒めるにしても立場の上下関係があるんですね
目上の人を褒めるとなんだか偉そうになってしまうし、相手も微妙な顔をします
でも「助かりました」ならば、こちらが受け取った側になるため角が立たないんです
これが好意の返報性のスイッチを入れます
人は自分を認めてくれる相手を攻撃しにくくなるのです
伝えるタイミングもその場で言うより少し後のほうが効きます
会議の直後より、次の日に「あれ助かりました」と言うほうが、本気に聞こえるものです
しかも上司って、けっこう孤独なんです
部下からは煙たがられて、上からは詰められて
誰も自分の仕事を見てくれていないと思っている人が本当に多い
そこに「私は見てますよ」という一言が入ると、効き方が全然違います
あなたにとってはコストがほとんどかからないのに、相手にとっては珍しい出来事なんですね
やってはいけない褒め方
大げさに言う
「さすがですね」を連発する人は、だいたい信用されません
みんなの前で褒める
目上の人を人前で褒めると評価しているように聞こえるので、相手のほうが居心地悪くなります
一対一で
短く
具体的に
この三つが揃うといちばん自然に届きます
3.絶対に敵にしない
ここがいちばん伝えたいところです
敵意の返報性
悪い扱いは、悪い形で返ってきます
そして上司との関係では、これがいちばん怖い形で出る
冒頭の半年後に異動になった人の話を思い出してください
陰口も「敵にする行動」です
敵にしてしまう行動は、正面からぶつかることだけではありません
同僚に陰口を言うこと
「あの人おかしいよね」と同意を求めること
人の口を経由して、少し大げさになって届くと印象は最悪
なぜなら陰口は言われた側の記憶に長く残るからです
周りはどちらが正しいかを判定してくれない
もっと大事なことが周りからの見え方です
あなたと上司が言い争っている時、それを見ている同僚はどちらが正しいかを判定してくれません
ただ「あの二人はもめている」と覚えるだけです
争いという出来事に二人がセットで貼りつくんですね
ネガティビティ・バイアス といって、悪いことは良いことより強く記憶に残ります
あなたが9回まともに働いていても、1回の言い争いのほうがはっきり覚えられてしまう
いくら正論を並べても感情は変わりません
たとえあなたが間違えてなくても「もめてた人」になるんです
バカとケンカすると自分までバカになる
ぼくが常々に意識していることです
同じ土俵に立った時点で、周りからは同じように見えます
相手のレベルに合わせて言い返した瞬間
あなたもそのレベルの人として記憶されてしまう
どちらが先に始めたかなんて誰も覚えていません
それに争いは想像以上に体力を持っていきます
腹を立てている時間
頭の中でやり返す言葉を考えている時間
お風呂で完璧な反論を思いついて、でも言えないと分かってまた腹が立つ時間
それら全てがあなたの人生の時間です
嫌いな人のために使うには、高すぎると思いませんか
仲良くならなくていい
味方になる必要もない
ただ敵にだけはしない
この距離感が自分を守ってくれます
実践すると何が変わるか
まず変わるのは、相手ではなくあなたの疲れ方です
感情を受け取らなくなるので、家に帰ってから上司のことを考える時間が減ります
お風呂の中で言い返す練習をしなくてすみます
次に相手の当たりが少しずつ弱くなります
人は自分を認めてくれる相手を無意識に攻撃対象から外すからです
ここは順番が大事で、相手が変わったからあなたが穏やかになるのではありません
あなたが受け取り方を変えたから相手の出方が変わる
逆ではないんですね
そして周りからの見え方が変わります
「あの人は誰とでも揉めずにやれる人だ」という評価は思っているよりずっと価値があります
次の異動でも次の会社でも、それはちゃんと付いてきます
いちばん効いてくるのはいざという時です
あなたが本当に困って、上司の力を借りたい場面がいつか必ず来ます
敵じゃない人からの頼みごとは聞いてもらえる
それまで敵にしてこなかった、という積み重ねはそのためです
まとめ
適当に聞き流す — 言葉は受け取って感情は受け取らない、相手の機嫌はあなたのせいではないことが多い
良いところを見つけて「助かりました」と言う — 嘘は見透かされるので、褒めるのではなく探す
絶対に敵にしない — 力関係は対等ではないし、争いは二人セットで記憶される、陰口も必ず伝わる
上司を好きになる必要はありません
ただ嫌いなままでも損をしない付き合い方はあります
明日いちばん最初にやることを一つだけ決めるとしたら
「すみません」を「いつまでに必要ですか」に変えてみる
これだけで月曜の朝の重さが少し変わると思います
この記事で触れた心理学
リアクタンス — 自分で決めたいという欲求、頼まれていない助言が反発を生む理由
感情の伝染
目の前の人のいらだちが、こちらの心拍数まで上げる
好意の返報性
認めてくれる相手を人は攻撃しにくくなる
敵意の返報性
悪い扱いは悪い形で返ってくる
ネガティビティ・バイアス
9回の好意より1回の言い争いが強く残る
動画版もあります
同じ内容を、うちの犬「ゆきち」とぼくの掛け合いで解説しています
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ゆうきさんのこの記事、たくさんの方が知っておくと楽になれると思います✨特に3はほんとにそう!仮にこちらを正しいと心の中で判断してくれても、助けてくれたり加勢してくれたりするわけじゃないですからね😅